SDGs SOLUTIONS 製鉄関連&アグリセグメント(もみ殻)
鉄鋼生産に必須な副資材として活用
玄米の1/4は「もみ殻」。
毎年数2百万トン程度が排出されていますが、十分に有効活用されているとは言えない状態です。
私たちは、異なる分野の、知識とノウハウを持ち寄り
グループの総合力でバイオマス素材である農業の副生物を鉄鋼生産用資材へと転換しました。
それは、農業と鉄鋼を結ぶ、大きなSDGsの一歩です。
私たちの主食、米。それだけに精米工程で排出される大量のもみ殻処分は、廃棄物処理をせざるを得ない等農家を悩ませるものでした。一方、鉄鋼製造過程における製鋼工程では、溶鋼の精密な高温保持にもみがら燻炭(焼き籾)を使用。年間数千トンの輸入をしている製鉄所もあります。この全く異なる2つの分野をつなげられないか ―― 私たちの挑戦が始まりました。
一方では廃棄、
もう一方では輸入
肥料やセメント強化材としての転用も検討されているものの、もみ殻の用途開発はあまり進んでいません。製鉄分野では保温材として使われていますが、収穫時期のかたより、および発生地の偏在から、不安定な供給を輸入で補っています。この2つの問題を俯瞰的に捉えて解決するには総合的な「知」の集積が必要でした。
多様な視点と思考から生まれる
持続可能な解決力
JA、全農、鉄鋼メーカー、そしてそれらの企業をコーディネイトする新ケミカル商事。全く異なる分野のコラボレーションが、新しい価値を生み出します。年に一度、ピークとして排出されるもみ殻を炭化し、通年安定供給するには?それを具体化する装置と保管場所は?具体性が高まるほど成功が近づきます。
スタートは2020年。
3年間かけて課題解決へ
新潟県内の農協と連携し、原料から製品までのサプライチェーン構築を検討しました。生もみ殻は、連携先の農協が近隣から確保。JA倉庫を活用、不足分は新設。その倉庫への輸送体制の確立。燻炭化のための炭化設備と供給装置、袋詰めなど周辺装置を増強。製鉄所使用に最適な梱包・物流・納入形態・ロットの決定。私たちは3年をかけ、ひとつひとつの課題を解決してきました。
農業と鉄鋼。
異分野にまたがるソリューション
産廃処理されるもみ殻量は全国で30万トン/年にのぼります。このプロジェクトによりその削減に寄与できるだけでなく、それだけの焼却による温暖化を防止しながら、製鉄所には保温材としての資源を供給。今までは、鉄鋼の副産物である肥料として硫安に。つまり、鉄鋼から農業へ、という流れ。この取組みでは、農業から鉄鋼へ、の道筋をつくりました。普段ならすれ違うこともない異業種でも、どちらも中心にいるのは「人」です。そのつながりが、大きなSDGsの効果を生み出します。