AGRI アグリセグメント

肥料等の農業関連資材の製造・輸入・販売を通じて
日本の農業と食料生産を支えたい

アグリセグメントは、化学肥料のなかで最も代表的な窒素肥料である硫安(硫酸アンモニウム)を、JA全農を通じて日本全国の農家の皆様へお届けする事業をメインに展開しています。今日、国内鉄鋼メーカーを中心に生産される硫安は、我が国の高品質な農産物の生産に不可欠なものとなっています。
また当社アグリ事業は、農業に不可欠な肥料原材料の取り扱いから、未利用資源(スラグ(鉱滓)、もみ殻、堆肥、食品残渣、下水汚泥等々)の肥料化にまで拡大しています。
最近ではアミノ酸系有機肥料の製造・販売を事業とするNCTアグリ(株)、水稲や園芸用の培養土メーカーの昭和培土(株)、青果物の生産、流通に携わるNCTファームネット(株)の3社がアグリセグメントを構成するグループ会社となったことで、より幅広く多様な農業現場のニーズに応える存在になっています。

アグリ事業部

鉄を製造する工程(製銑工程)では、原料としてコークスが不可欠です。そして石炭からコークスを製造する工程においてはコークス炉ガス(COG)が発生し、これが硫安の原料となります。こうして鉄鋼生産の副産物として硫安が製造されています。アグリ事業部では、この副産物である硫安を窒素肥料として北海道から沖縄まで全国規模で販売しています。副産物を有効利用することで、環境保護と日本の食と農業に貢献しています。また、肥料を取り扱うプロフェッショナルとして、硫安以外の肥料原料を輸入し、農業生産の現場にお届けしています。

製鉄企業との長く深い関係を活かし
安定した調達力を実現

アグリ事業部は、国内鉄鋼メーカーなど各種工程から生産される硫安を取り扱っており、国内需要のかなりの部分をカバーする重要な役割を果たしています。特に製鉄企業とは長年の販売実績を評価され、信頼を得ています。

全国規模の販売展開力で
JA全農の需要に応える

JAグループの購買事業を全国規模で担う唯一の組織、全農。当事業部はその全農の要望に応えて、貴重な国産肥料である硫安を販売しています。私たちの取り扱う硫安が、全国規模で作物の生長を促進しています。

未利用資源の肥料化、
有効利用にチャレンジ

スラグ、食品残渣、下水汚泥等の肥料化、もみ殻の有効利用など、本来は廃棄する物の資源化に取り組むことで循環型社会の構築を目指しています。

事例 / モデルケース

内航船輸送から小ロット輸送まで需要家様ニーズにきめ細かく対応

アグリ事業部では需要家様のニーズに合わせて内航船での輸送(500MT~1,300MT)の手配を行っています。硫安メーカーのプライベートバース(埠頭)から需要家様の最寄りの港までの船輸送の手配を行い、一度にまとまった数量の輸送を可能にしています。その他にも、硫安メーカーから需要家様までのバラダンプ車(10MT~25MT)を使用した輸送手配や、その他、需要家様のニーズに応えるためにフレコン袋(500kgや1,000kg)や20kgのポリエチレン袋への詰め替えと小口配送と販売も行っております。

ニーズにあわせた在庫機能で急なご注文にも対応

アグリ事業部では、国内最大の肥料需要地である北海道をはじめ、全国各地で硫安を保管し安定供給に努めています。需要家様からの急なご注文に対しても柔軟に対応できるしくみを構築しています。

未利用資源の有効活用

未利用資源の肥料化以外にも、JA全農と協力して農協のライスセンターから出てくる「もみ殻」を、鉄鋼プロセスでの保温材として有効利用してもらう取り組みを行っています。

SDGsへの取組み

鉄鋼プロセスの副産物である硫安を廃棄物ではなく、窒素質肥料として有効利用することで鉄鋼業から農業へのつながりが生まれ、農業から出てくるもみ殻を鉄鋼プロセスで有効利用することで農業から鉄鋼業へつなげる懸け橋となる取り組みを当社が担っています。鉄鋼・農業それぞれの副産物がお互いに役立つことで、循環型社会が形成され、持続可能なサイクルを創り上げています。

主要取扱製品

  • 硫酸アンモニウム
  • 塩化アンモニウム
  • 硝酸アンモニウム
  • 硝酸ソーダ
  • リン酸アンモニウム
  • 過リン酸石灰
  • 重過リン酸石灰
  • 硫酸加里
  • 塩化加里
  • ゼオライト
  • もみ殻燻炭

NCTアグリ株式会社

農業生産資材である肥料、土壌改良資材、農業用ビニールや温室用資材、培養土から、販売ネットワークの展開まで、広く農業を支えています。過去肥料メーカー兼輸入商社として蓄積した、独自ノウハウによる製品開発力、技術的なフォローを伴った販売を行い、特に高機能肥料であるアミノ酸入りの有機化成肥料や液体肥料は、バイオスティミュラント(生産促進のための生物刺激剤)としてひろがっています。温室などで使用する溶液栽培用肥料もさらに拡大中。ご需要家のニーズにスピーディーに応える商品開発力とオーダーメイド対応、販売面ではグループ企業・NCTファームネットと連携し、農家の皆様と一緒に地域農業の発展をめざしています。

独自設計、オーダーメイドも可能な
自社による肥料の開発・製造力

当社は肥料メーカーとして事業をスタートしているため、独自設計で特徴ある肥料の開発が可能です。今では専門知識を活かしたファブレス生産方式により、地域性を踏まえた肥料開発、消費地に近い肥料生産を実現しています。

商社のつながりを活かした
業務用野菜の産地開発やサポート

食品メーカーからの要望を受けて、必要とされる品質の業務用野菜を産地と直接取り組み、ユーザーから求められるGAP(農産物安全指標)取得のサポートなどを行い、補助事業取得支援や経営アドバイスまで実施しています。

事例 / モデルケース

有利販売可能な野菜作りを契約から公的補助制度までサポート

業務用野菜の栽培契約の締結から、販売計画に基づく営農計画策定、適切な品種選定、肥料の提供、活用可能な公的補助制度の紹介・活用まで、確かな実行力で、農業法人の規模拡大や経営改善に貢献しています。

施設園芸農家様の施設設計、収益改善に貢献

思うようなビジネスが展開できない施設園芸農家様に向けて、販売ノウハウも含めた適切な施設の設計を行っています。また、最適な養液肥料の提案と施用方法のアドバイスを行うことで、農家の収益改善にも貢献しています。ICT技術を利用した自動化制御など、スマートアグリにも取り組み、さらに高度な先進技術も導入していきます。

公的農業への補助事業の事業体として活動

ひとつの農家単独では活用できない公的農業向けの補助事業をとりまとめ、当社が公的農業への補助事業の事業体として、事業体の構築、GAP(農産物安全指標)取得、契約栽培の導入を行い、複数農家の経営改善に大きく貢献しています。

SDGsへの取組み

化学肥料に含まれる亜酸化窒素ガスは大気放出されると地球温暖化の一因となります。有機質肥料の拡販を通じて、化学肥料に代えることは温暖化対策につながり、同様にアミノ酸などのバイオスティミュラント材(生物刺激剤)の拡販、リサイクル原料・食品副産物由来肥料の拡販も農薬の削減へとつながります。

  • 食料の供給:生産量の安定化に貢献
  • 環境への配慮:バイオスティミュラントの推進で農薬削減に貢献、温室機能性資材による化石燃料の減少CO2発生の減少
  • 農業経営の安定:雇用の安定、後継者育成

主要取扱製品

  • 育王
  • 花果神
  • 韋駄天液肥
  • アミノ肥料
  • プロアミノS
  • エスミン
  • プロ液肥
  • ごこく肥料
  • クロロゲン
  • ジプライト
  • スーパーフラット30
  • 粒HSC

昭和培土株式会社

お米の育苗過程には、水稲育苗用培土が使われますが、昭和培土は約半世紀前の1975年に育苗用培土の生産を始め、今もそれは続いています。お米の生産状況は、当然ですが稲作農家にとって最重要の関心事で、培土におけるご判断もシビアです。厳選した原料を使い、安全で高品質な製品の供給と開発を絶え間なく続けることで、農家の皆様には老舗の培養土メーカーとして信頼を頂き、おかげさまでその印象をずっと保ち続けています。
また、関連会社が製造する肥料や土壌改良材の販売を適切な判断により提案するなど、グループ全体としてのシナジー効果を最大限活用しながら、全国規模での農業発展に取り組んでいます。

『培土』とは、健苗を育て
農業経営を向上させること

『培土』の目的とは、健苗を育てることで農産物の収量や品質を高め、農業経営を向上させることだと考えます。その信念から、培土の改善・改良を長きにわたり続けた蓄積が、さらに安全で満足いただける培土生産を可能にしています。

製造の都度行われる
技術部による製品検査

当社では、製造の都度、技術部による製品検査が行われています。多くの場合、育苗は年に一度しか行われない、大切な生産過程です。その大切な機会に安心してご使用いただけるよう、私たちの製品は、確実な安全性を有しています。

事例 / モデルケース

さいとう種苗におけるオリジナル培土開発

さいとう種苗(茨城県)では、以前から茨城の気候に最適で製品の品質が安定した葉物野菜(レタス・キャベツ・白菜・ブロッコリーなど)専用の種まき・育苗培土を探されていました。オリジナル品を開発する場合は、製品の品質管理(原料検査・製造後の分析・定期播種試験・疑問等への回答)ができることが条件です。
ご縁あって、さいとう種苗株式会社・齊藤社長と昭和培土の営業担当が力を合わせて、上記条件を満たし、茨城の風土に合う製品の開発に乗り出します。
問題点としては、近年育苗期間中の高温による生育不良、特にバラツキや徒長が散見され定植時期に揃いが悪いといった事例が発生していました。当社品のこだわりでもある“地下部の充実”をコンセプトに原料の配合や肥料設計を行いましたが、特に肥料設計に関しては温暖な茨城県と寒冷地の宮城県ではギャップがあったため、何度も調整しながらN-120というオリジナル肥料の設計を達成しました。これにより、ずんぐりむっくりした理想的な苗を育てることができるようになり、さいとう種苗での育苗試験を経て「この生育なら良い。この品物なら大丈夫!」と太鼓判を押していただいた製品が誕生しました。
このように、メーカーブランドの製品とは異なる設計で、地域にあわせた肥料成分を採用した培土開発も行っています。さいとう種苗様、当社ともに自信をもっておすすめする葉物野菜専用の種まき・育苗培土を、機会あればぜひ一度お試し頂きたく思います。それほど達成感・充実感のある培土開発でした。

SDGsへの取組み

当社の良質な培土を通じて安定的な水田を継続運営することは、緑化環境の維持につながります。また、法律に適した採取原土による育苗培土を使用することで、個人による無作為な山林の乱開発や自然破壊を止めることができます。杉用などのコンテナ育苗培土(苗木用培土)を提供することは森林回復につながり、気候変動に合わせた培土変更(肥料調整、配合調整など)を行うことで作物生産の安定化を実現しています。さらに、水稲用軽量培土の普及により輸送車両台数の削減を達成しています。

主要取扱製品

  • しょうわ培土:水稲用一般培土
  • SBかるいんです:水稲用軽量培土
  • SBセル培土1号:播種用培土
  • SB軽量ねぎ培土:ねぎ・玉ねぎ用培土

NCTファームネット株式会社

NCTファームネットでは全国各地の生産者と加工業者、量販店を直接結ぶ、新しい青果流通の構築に取り組んでいます。エンドユーザーにとって、生産者の顔が見える青果流通の仕組みが実現しています。また、生産者にとってはマーケットインからの作付けにより、市況に左右されない安定価格での生産が可能となり、消費側からはつねに安定した供給がなされるという、WIN-WINの関係が構築できました。

顔の見える流通で
品質・価格・安全安心にメリット

生産者から直接、実需者へ販売しますから、流通過程短縮による鮮度、価格にメリットが生まれます。産地情報はタイムリーに共有でき、生育情報やトレサビリティーといった信頼性の向上につながっています。

信頼品質の肥料・農薬の提供で
高品質生産を実現

生産者に対して、高品質な自社肥料や農薬を販売・供給していますから、出来上がった農産物も安心・安全な高品質製品で、同時に生産履歴管理も行っています。Global GAP、J-GAP認証のレタスやキャベツを取り扱い、年々高度化する農産物の安全・安心ニーズに応えます。また、契約農家にはGAPの指導などのサービスも行っています。
高品質な自社肥料や農薬を販売・供給し、結果、出来た農産物も安心・安全な製品で、生産履歴管理も行っています。このようなGlobal GAP、J-GAP認証製品の取り扱い、GAP指導も行っています。

事例 / モデルケース

Global GAP認証レタスのオーダーを
力を合わせて実現!

大手ファーストフード店向けのGlobal GAP認証取得済レタスの生産オーダーがありましたが、認証取得している地域の農家は当時まだありませんでした。当社は、生産者10名に声をかけてそれぞれに取得を促し、取り組むこととなりました。
いざ取り組みをはじめてみると、農家としてはいままで特に意識していなかった、農作業をマニュアル化することの困難さや、感覚で作業することに慣れているためあいまいな判断基準などを具体化する面倒くささを感じることが多く、皆が納得しながら進めることの難しさがありました。
また、G-GAPを取得するメリットを農家に納得してもらいつつ、実際に農家の経営改善に役立つ成果を実感してもらうまでには時間もかかります。200項目を超える要求事項をクリアし、今まで意識をしていなかった食の安全に対する意識の改革も迫られました。
そのような状況の中でも、当社及び各生産者が一丸となって前向きに取り組んだ結果、すべての農家が認証を取得。次年度より、要望通りの量のレタスの出荷が開始されました。認証取得についての壁はありましたが、毎日大型トラック1台の新たな契約となり、充実感を伴う大きなメリットがすべての農家にもたらされました。

SDGsへの取組み

GAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)とは、農産物(食品)の安全を確保し、より良い農業経営を実現するため、食品の安全だけでなく、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組です。農家の皆様へGAPを指導・取得を斡旋することはSDGsの17ゴールのひとつ、「つくる責任、つかう責任」である持続可能な生産・消費体制を確保することにつながります。

主要取扱製品

レタス・キャベツ・白菜・にんじん・大根・長いもなどの流通取り扱い